
私は上の子3人とも、通常分娩での出産でした。2019年に4人目を出産することになり、初めて「無痛分娩」という選択をしました。
この記事では、無痛分娩の費用や流れ、実際の出産の様子や術後はどんな感じだったのかについて、私の体験談を書いています。
無痛分娩のことを知りたい人の参考になればと思い書いたので、これから出産を控えている人を怖がらせる意図はありません。
ですが体験談ということもあり、実際の出産の時の様子や痛みについても書いています。なので、気落ちしそうだったり、不安になりそうならこの記事を読むのは避けて下さい。
心に余裕がある時。そして、日本のどこかで出産をした1個人の体験談として、ちゃんと客観的に捉えられる時に読んでみて下さいね。
また、病院によってやり方や方針は違うので、詳しくは必ずかかりつけの産院に聞いてみるようにして下さい。今回の私の体験談は、少しでも何かの参考になれば幸いです。
目次
無痛分娩にしようと思ったわけ
ちなみに私にとって、妊娠・出産に関して辛いことの1位はダントツでつわりです。
つわりさえ終われば、特にトラブルも無く毎回出産までの日々を過ごすことが出来ていました。そして今回が4回目の出産です。
出産予定日が近づくにつれ、毎回思い出されるのは初産の時。ふうふう言いながら初めての陣痛に耐えていたのですが、助産師さんに

と言われました。余裕も何も、すでにこんなに痛いんですけど…なんて思ったのですが、助産師さんの言う通りでした。
よく「赤ちゃんも頑張ってるんだから、お母さんも頑張って!」なんて言いますよね。でもいざその時になると、そんなことは頭から吹っ飛んでしまって。
私が考えていたのは、
「痛い痛い痛過ぎる!もう何でも良いから、さっさと出て~!!!!!」
だけです。早く出て欲しくて、1回のいきみで長い時間踏ん張っていたのですが、立ち会いをしていた夫は私が息を止めていきみ、みるみる赤くなる頭皮を見て、
(この人はここで死ぬんじゃなかろうか…)
と本気で心配したそうです(笑)。最後の方ではあまりの痛さに意識が朦朧となりながら、それでも容赦なく押し寄せてくる陣痛の波に、
(人間って、こんなに痛くても死なないどころか気絶すらしないんだな…)
なんてうつろな目で天井を見ながら、ぼんやりと思ったのを今でも覚えています。
出産の痛みを例えるのに「鼻からスイカ」なんて言葉がありますが、私があの痛みを表現するなら「小腸とか大腸とか全部ひとまとめにして、雑巾絞りにされる感じ」です。
これを言ってもあまり分かってもらえませんがとにかく、子宮が収縮してギュウゥ~となるのがとんでもなく痛い。
赤ちゃんが出て来た瞬間は力を使い果たしたので脱力して、酸欠で、手足もがくがく震えていました。もちろん次の日は、手の平まで全身筋肉痛です。
さて、4人目の出産予定日が近づくにつれ、日に日に張るお腹。またあの痛みに耐えなければならない日は、もうすぐ必ずやってきます。
何回やったって慣れるもんじゃありません。むしろ、痛みを知っている分怖い。
「これまでずっと通常分娩で痛みに耐えてきたんだから、1回くらい…1回くらい、無痛で出産しても良いじゃない!」
あの痛みに耐えなくて良いという安心感が欲しくて、無痛分娩を選択することにしました。とは言っても、産院によっては無痛分娩をしていないこともあります。
この時すでに出産予定日の3週間前。今さら出来るのかどうかも分からなかったので、とりあえず通っていた産院のお医者さんに相談してみることにしました。
無痛分娩を受けるまでの流れ
まずは無痛分娩の希望を伝える
私のこれまでの出産を振り返ると、
- 1人目→予定日の1週間前
- 2人目→予定日の2週間前
- 3人目→予定日の2週間前
と、上の子3人とも予定日より早く産まれています。
そのため4人目となる今回も、おそらく出産予定日より早めに産まれるだろうと予想していました。(結果的には予想通り、予定日の2週間前に産まれました。)
なので今回の申し出は、実質ギリギリです。本来ならもっと早めに伝えておくべきことなので、真似はしないで下さいね。
いつもの妊婦健診でエコーなどを終えたあと、お医者さんに無痛分娩の希望を伝えます。
するとすぐに看護師さんが同意書兼説明書を持ってきてくれ、お医者さんから無痛分娩についての説明が始まりました。
これがその時のプリントです。
基本的にはこのプリントに全部書いてあるので、大事な所だけ特にピックアップして説明されます。その時説明されたことを、以下に簡単にまとめておきます。
無痛分娩の説明を受ける
背中から麻酔のチューブを入れる
私の行った産院では、背中から麻酔のチューブを入れる方法で無痛分娩を行っているとのことでした。と言われてもそれがどんな状態なのか、全く想像出来ませんが。
子宮口が5cmを超えると、麻酔が開始されます。

この産院では、痛みを全くゼロにしてしまうことは無いそうです。痛みをゼロにしてしまうと、陣痛が遠のいてしまうことがあるとか。

陣痛の最大の痛みが10だとしたら、2か3くらいの痛みになるということでした。十分です!
費用について
私が分娩予定の産院では、通常の出産費用に+6万円上乗せでした。3万円くらいだろうと思っていたので、思ったより費用がかかってしまうことにびっくりしてしまいます。
しかも私は、今回の出産が4回目。さらに上の子3人の時のことを考えても、おそらくお産は早く進んでいくことが予想されました。
(特に長男と次男は、分娩室に入ってから「もう産まれたの!?」と周りの看護師さんに言われるくらいスピード出産でした。)

もしそうなってしまっても、無痛分娩にかかる費用は成果報酬ではありません。
そのため麻酔が効こうが効くまいが、麻酔の処置を始めた時点で6万円の金額は上乗せされてしまうということでした。
これは正直1番避けたい、最悪のパターンですね…。
無痛分娩当日のことについて
麻酔分娩中は絶飲食(少量の水は可)で、トイレは導尿になります。
また、無痛分娩での事故例を踏まえ、スタッフの数がいつもより少なく、対応が難しくなる夜間・日曜・祝日には無痛分娩は行っていないそうです。

ただ、例えばお昼に陣痛が始まり、そのまま夜に突入しそうな場合には、臨機応変に対応してくれるそうです。

無痛分娩は希望さえすればしてもらえると思っていましたが、これは予想外でした。日が重ならないことを祈るばかりです。
説明後の流れ
説明の後には、採血を行います。無痛分娩が出来る体質かどうか血液検査を行うということでした。もしダメだった場合は、連絡してくれるそうです。
私の場合はギリギリの申し出だったので、説明後は即採血になりました。
ですがちゃんと余裕を持って動けば、無痛分娩のメリット・デメリットをじっくり考えて決定し、次来院した時が採血という流れになったと思います。
ともあれ、これで無痛分娩についての説明や手続きは終了です。

もし1週間を待たずに陣痛がきてしまったら、病院に来る時には必ず同意書を持ってきて下さいと言われました。
無痛分娩にしたいと伝えた時の夫の反応
お医者さんに聞いた話を夫に伝えると、

これまでの出産でずっと立ち会いをしてきて、私の苦しみ具合を知っている夫は、私の好きにして良いと言ってくれました。
そもそも通常分娩にしたところで絶対安全というわけではないのですが、今回はその話はさておき。痛みだけに焦点を当てると、耐えるのは他でもない自分自身です。
正直私も、上乗せされる費用のことを聞いたときにはためらいました。無痛を選択しなければ、6万円浮くわけですから。
これはやっぱり大きいです。
でも最初にも書きましたが、「通常の出産より痛くない」という安心感をどうしても得たくて、1週間後の妊婦健診で同意書を提出しました。
後は出産日を待つだけです。
いよいよ出産当日!無痛分娩の効果は…?
同意書を提出した2日後、水曜日の朝。出産予定日の2週間前です。
「今日はなんか特に痛いな~…。ていうか、痛くて動けない…。」
朝から子ども達を幼稚園に送る準備をしていたのですが、お腹の張りがいつもより強く、たびたび動けなくなります。
もしや…と思って時間を計ってみると、お腹の張りは既に4分間隔になっていました。すぐに夫が休みをとり、子ども達を幼稚園へ連れて行き、そのまま病院へ。
病院へ着くと、直接分娩室へ案内されました。服を着替え、採尿をし、ベッドに横になりお腹には陣痛計を取り付けられます。
採血、点滴などを済ませ子宮口のチェック。5~6cm開いているということでした。
この時点で既にかなり痛く、「やった、5cm超えてる!麻酔麻酔!」と思ったのですが、まだ麻酔はしてもらえず。

そのまま助産師さんは出て行ってしまい、しばらく放置されます。この時間はただただ陣痛の痛みに耐えるだけの時間だったので、辛かったです…。
夫は立ち会い希望だったので廊下で待機していたのですが、助産師さんの許可なく入れないので、私の状況が分からないままずっと待っていたそうです。
せめて夫が入ってきてくれたら気も紛れたのですが。痛みはどんどん強くなるし、陣痛の波が来るたびに1人で耐えるだけの地獄の時間でした。
することが無いので、壁の時計を見ながら陣痛の間隔を計っていたのですが、陣痛の波は2分間隔になっていました。
「うぅ~まだ~?せっかく無痛にしたのに何で~…。5cm超えたらって言ってたのに…。早く…早く麻酔を…。」
そんなこんなで15分くらい経った頃、やっと先生が来られました。右向きになって寝て、麻酔を打たれます。おへそを見る感じで丸くなり、背骨の所を入念にチェック。
そしてチクッっとした痛みとともに、ジカァ~と何かが広がる感じがします。
もちろん注射なので痛みはあるのですが、陣痛の痛みが凄すぎて何でもないレベルです。それよりも、処置の合間に来る陣痛の波の方が辛かったです。
後はひたすら、
「早く麻酔効いて~!」
と祈りながら耐えます。この1番最初に打たれたのは体に合うかどうか見るためのテスト用の量で、後は様子を見ながら除々に追加していくということでした。

と再度説明があります。
それから麻酔を少しずつ追加されます。追加される時の感覚は、背中を冷たい水が流れる感じです。これは全く痛くありません。
除々に麻酔が効いてきたのですが、その時の感覚を少し説明します。
陣痛の波が来ると、「来た」ということは分かります。「ふぅ~、ふぅ~」ともなるのですが、例の雑巾絞りのような、子宮がぎゅ~っとなる感覚はありません。
陣痛の波が最高潮になり、絶対痛いというタイミングになった時にも、お腹がぱんぱんになったような感じがするだけです。
痛いと言うよりも、苦しいの方が近いような気がします。さっきまで痛かったあの痛みがすぅ~っと無くなっていくのは、何だか不思議な感じでした。
そして、お尻辺りが開いていく感覚があります。おそらく、子宮口が開いていっていたのだと思います。
この時足の指もグーパーグーパーと動かせたので、下半身全部に麻酔を効かせるわけじゃないんだな~なんて考えていまいした。
後は子宮口が全開になるまで、これを繰り返しながら待ちます。
もし麻酔をしていなかったらこの陣痛の波が押し寄せるたびに痛みに悶え苦しんでいたのか…と思うと、無痛にして良かったと心の底から思いました。
そうこうしているうちに子宮口が全開になり、なんだか痛みも出てきたような・・・。と考えていたら、表情が苦しそうだったのか、助産師さんから声をかけられました。

食い気味に「はい!」と答えると、麻酔がまた少し追加されます。そしていよいよその時がきます。

鼻から吸って、息を吐いて、鼻から吸って、息を吐いて。そして大きく息を吸って、止めて、おへそを見ながらいきみます。
「無痛だと感覚がないから、どこでいきめば良いのか分からなかった」というのをネットで見たことがあるのですが、私の場合は全然そんなことは無く、ちゃんと分かりました。
そしてそれなりに痛い。それでも、本来の陣痛に比べると100倍マシでした。そして、自分が何をされているのかがよく分かります。
助産師さんが子宮口を広げているところとか、最後は赤ちゃんが出口にいるのも分かりました。「頭見えてますよー!」という言葉も、「ですよね!」という感じです。
なのになかなか出て来ないので、
「あ~もうムリムリ!もう限界!何してるの!?早く取り出して~!」
って思ってました。出てくる瞬間も、全く痛くないということはありません。それなりに痛かったし、苦しかったです。
それでも、それでもですね、麻酔無しの陣痛より100倍マシでした。
今までは出産後、「もう2度と出来ない…」と思っていましたが、今回は「これならもう1回出来るかも」と思ったくらいです。
無痛分娩後の状態
無痛分娩だったからか経産婦だったからかは分かりませんが、今回の出産では子宮口が裂けることも無く、無傷の状態で出産出来ました。
なので傷を縫うこともありませんでしたし、もちろん抜糸もありません。そもそも傷が無いので、トイレに行ってもしみたりしません。
出産直後なのに、痛みも無く普通にトイレに行ける。これが地味にありがたかったです。後陣痛には苦しめられましたが…。
無痛分娩のまとめ
最初にも書きましたが、これは私が行っていた産院での体験談です。妊娠中の状態は1人1人違いますし、産院によってもいろいろ違います。
同じ「無痛分娩」でも、人によって様々な体験談があります。なのでひとくくりにしてしまうことは出来ませんが、私の体験談が少しでも参考になれば幸いです。
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました!